札幌高等裁判所函館支部 昭和28年(う)13号 判決
控訴趣意は要するに本件被告人の行為が火薬類取締法第十一条第一項但書の場合即ち同法施行規則第十五条第五号の「一ケ月以内に完了する土木工事その他の事業に要する火薬類を消費地を管轄する都、道、府、県知事の指示する安全な場所に貯蔵する場合には少量のものは火薬庫に貯蔵するを要しない」場合に該当するや否やを審理することなく漫然「法定の除外事由がない」として有罪の認定をしたのは証拠によらないで事実の認定をした違法があると言ふにあるが、原審で調べた証拠によると被告人は昭和十四年九月現住地に引越してから鉄道関係の採石事業に従事し終戦後設立した国栄採石工業株式会社の社長として同一事業を営み、その事業は一ケ月以内に完了する事業でないことが明かであり、且つ又原審判決に引用した渡島支庁長北田堅吉作成の「答申書」の記載によるときは被告人から同支庁長宛右規則第十五条による一時貯蔵の指定許可の申請もなく又許可を与えたこともないことが認めらるるから同法第十一条一項但書の場合に該当しない。従つて原判決には所論のような違法はない。
同第二点について
原審証人高橋武孝の供述調書、並に被告人の司法警察員並に検察官に対する供述調書中に警察官から指示を受けて自宅に貯蔵した旨の記載があることは所論のとおりであるが、たとえ被告人において警察官の指示により自宅に貯蔵するのは許されたものと信じていたとしても、それは法令の不知であつて犯意の成立には影響がない。論旨は理由がない。